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STORY
100のお題
夢の泉


強引に引っ張るカービィに、グーイは呆れたように言う。
「本当にやるんですか?」
もはやカービィは振り返らない。
「やる!一度やると言ったら死んでもやるのが星の戦士カービィだろ?」
「いや知りませんけど」
「とにかくやるったらやるんだよ!」
やるやるうるさい彼が一体何をしようとしているかというと
「やめましょうよ!季節を夏にしてしまおうなんて」
「どうして?いいじゃん、毎日が夏休み!最高じゃん!」
「そうじゃなくても毎日休みみたいなもんでしょ僕ら」
「夏じゃなきゃやだ〜!」
「ダダをこねるな!それに夢の泉にお願いするなんて外道です!」
「ピンクの悪魔って呼ばれてる時点でもう道踏み外してるから大丈夫!」
「何が大丈夫なんですか!」
そうこうしているうちに二人は泉に到着した。
カービィはためらうことなく真ん中の台座へ向かう。
「やめましょうよ〜デデデ大王と同類ですよ〜」
グーイの説得も空しくカービィはスターロッドの所に着地すると一気にそれを引き抜き、ドスの効いた声でささやいた。
「戻して欲しかったら素直に俺の言うことを聞くんだな。へっへっへ」
「完全に悪人だよ。もうヒーロー失格だよ」
うるさい!と罵倒すると、気を取り直してスターロッドに向かう。
「夢の泉よ、僕の願いを叶えてください!――季節よ、夏になーあれ☆」

――眩しい日差し。遠くで鳴く蝉の声。
「グーイ、早く!」
「まって下さいよー」
浮き輪を抱えたカービィはグーイを急かしてまた走り出した。
砂浜を蹴って海に飛び込むと、高く上がった水しぶきがキラキラと光る。
気持ちよく泳いでいると、グーイがおおきなスイカを抱えてやってきた。
「スイカ割りしましょうよ」
「やるやるー!」
右に左に指示を出す声に導かれて思いっきり木の棒を振り下ろすと、いい音がして真っ赤な果肉が身を覗かせた。
大きく口を開けてかぶりつく。口に広がる甘さを堪能していると、どこからか祭囃子が聞こえてきた。
「縁日だ!」
焼きそばたこ焼きわたがしりんご飴。両手にいっぱいの食べ物と、たくさんすくった金魚たち。
グーイと競った射的もなかなかの好成績だった。
大きな音を立てて夜空に開く美しい花火。仄かに香る蚊取り線香の匂い。チリンと風に揺れる風鈴。
ああ、幸せだなあ・・・

そんな妄想を繰り広げていたカービィがそれを予想できたはずもない。
「・・・あれ?」
何も起きない。コンコン叩いてみても、ガンガン殴ってみてもスターロッドは一つの反応も見せない。
「おかしいなあ」
その様子を見てほっと胸をなでおろした気分のグーイ。
「さ、帰りますよ」

帰り道もカービィはぶつぶつ文句を言っていた。
「なーんで言うこと聞いてくれないかなー。僕に助けられた恩も忘れてさ。ほんっとしょーもない秘宝だよね」
グーイが彼がヒーローとして居座っているこの国の将来のことを案じていていると、向こうから誰かがやってくるのが見えた。
どこか怒りが感じられるような大またでずかずかと歩くその人物は、二人がよく知る顔だった。
「やあ。デデデ大王」
どうやら彼はカービィに話しかけられるまでこちらに気付いていなかったようだ。
「ん?カービィか。今話してる暇はないんだ。じゃあな」
「え、なになに?万年暇人の大王様が急ぐ用事って何?」
かまわず再び大またで歩き出すデデデにつきまとうカービィ。
「ねえってば。夢の泉に行くの?もしかして季節を夏に変えてもらうの?それなら無駄だよ。いま夢の泉反抗期だから。ねえちょっと無視しないでよ」
「あーーーうるっさい!夢が見れなかったんだよ!!」
その不意打ちに一瞬言葉を失くす。
「・・・え?」
「だから、夢が見れなかったんだ!」
「それで夢の泉へ?」
グーイが訊ねる。
「ああそうだ。夢を見せない泉に文句言ってやる!」
頭の悪い発言をするデデデ大王にカービィが呟く。
「それ、効果あるのかなあ・・・」
「いや、カービィさんも同じようなことしてたでしょう」
その言葉にはっとするカービィ。
「もしかして、僕のせい・・・?」
カービィは明らかな焦りを見せ、すがる様にグーイを見る。
「大王さん。夢が見れなかったのはいつのことですか?」
「いつって、今日のことに決まってるだろ!あ、いや、昨日から今日にかけて、かな?」
「つまり、夜中のことですね?」
「そういうことだ」
デデデ大王がうなずいてみせると「なら!」と急に元気になるカービィ。
「僕のせいじゃないんだね!?よかったあー・・・」
「お前、一体なにしてたんだ」
「え、いやあの、その・・・」
しどろもどろになるカービィをよそに、グーイはその昔カービィが退治したというナイトメアの話を思い出していた。
「また、悪い奴の仕業でしょうか」
「えーーーーまたあ!?あ、でもさでもさ、僕昨日夢見たよ」
「何!?」
「おっきいケーキを食べる夢!」
「何ぃい!?」
悔しそうに拳を握るデデデ大王。それに追い討ちをかけるようにグーイの声。
「僕も見ましたよ」
「何ぃぃぃぃいいい!?」
「何食べたの?」
「いや、食べる夢じゃなくて、お花畑でお昼寝する夢でした」
思い出してまったりしているグーイに
「夢の中でよく寝れるね・・・」
と半ば感心しつつ
「じゃあ悪者の仕業じゃないんじゃない?」
「そうですね。ただ単に覚えていないだけじゃないでしょうか」
もっともな意見だが未だ不満そうなデデデ大王。それをよそにカービィは豪快に腹を鳴らした。
「うう、お腹すいた。早く帰ろうよ」
「そうですね。では失礼します」
そう言って二人は去っていった。
「・・・納得いかん・・・」
デデデ大王は一人泉に向かって歩き出した。


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